予告された倒産の記録 その30

■ 悪者作り


 2008年はイーモバイルにデータ通信ユーザをごっそり持っていかれた。
 個人、法人ともに被害は甚大だったが、秋から冬にかけて数回の社長メッセージでは、法人ユーザの被害、法人営業部の努力不足が強く指摘された。


 法人営業部の現場責任者は、半年前にウィルコムへ転職して来たばかり。三つの頭の派閥のしがらみなく、最も責任をなすりつけ易かった
 まさか悪者役をさせるために雇った? 外資系大手ソフトウェア会社出身であることも、なぜか周囲の反感を買った。


 全社員向け社長メッセージで法人営業本部が名指しで批判されたため、中間管理職のMtgは責任のなすりつけ合い。
 本部長が新たな営業手法を導入しようとしても、社長に嫌われている本部長の言うことなど、誰もきかない

 知らないこと、馴染みないことはやりたくないという組織気質もある。法人営業部のMtgに参加したヒレバ氏は、次推室へ戻り、Mtgの雰囲気の異様な滑稽さを話した。

 ひどいもんだあそこは。誰もかれもハト胸状態。胸張って突っ張って、オレは悪くないぞってのばかり。新しい本部長も、毛並みの良さをひけらかしてるから、部下の反感買って誰もいうことをききやしない。 悲惨極まりないね、あの本部長は。ちょっと勘違いしてるよ。



 少し先だが、9カ月後、キクガワ社長退任後、クボタ新社長は法人営業本部長のスキルを高く評価し、その営業手法の導入を推進した。すると、法人ユーザの減少は止まってなかったが、ヒレバ氏の口から、法人営業本部長の悪口はピタリと止んだこの種のものは、いーかげんである。



サービス残業のカラク


 無線による情報配信のデジタルサイネージを企画すると、なぜ3GでなくナローバンドのPHSなのかが問題となる。
 通信速度は3G優位。料金は差別化できるほどのメリットなし。しかし、場所が病院内ならば、PHSを使う理由が立つ。

「病院内はPHSが安心安全。3Gは危険」が根拠なき噂に過ぎないかはさておき、少し前まではその通説にそこそこの信憑性があるとされ、PHSは多くの病院の内線電話に採用された。

 ウィルコムは多くの病院と取引があった。マシタ氏が10月に実証実験を始めた毎朝新聞社とのMtgで、病院内デジタルサイネージの話が持ち上がった。エコで人体にやさしい電子ペーパーディスプレイを使って、どうだろうか?

【会社説明】「毎朝新聞社」……全国紙の大手新聞社。フィクションの世界にたびたび登場する。ドラマでは「古畑任三郎」「白い巨塔」「不毛地帯」など。

 電子ペーパーディスプレイのメーカーや、社内の医療担当部門へ打診し、話を進めた。京都にある国立系の医療センタでプレゼンできることが年末に決まった。プレゼンの相手は多忙であり、年明けの1月6日を外すとまたいつになるかわからない。

 正月休み明け早々か… 年内の出勤日あと2日を残し、マシタ氏は遠い目になった。チェックの時間を考えると、年内に資料を整えないといけない。穏やかな年末、というわけにいかなくなった。が、それは急な仕事が増えたせいばかりではなかった。

 ウィルコム中間管理職のサンタさんは、マシタ氏に「サービス残業」をプレゼントしたのでした… ジングルベール♪ ジングルベール♪ カネガーナイー♪ 


 ま、会社が危機なら、一時的なサービス残業くらい(法律上はマズいが)協力してやるけどね…。それが社員の感覚ではないだろうか。ただし…「本当にきちんとした蛇口の締め方をしているのであれば! 」だけど。

 たとえばデータ同期サービスのズボラな赤字垂れ流し然り。
 高給取り経営陣の減給が一切ないのも然り。
 ほかにも、会社は残業時間の上限値を部門単位で定め、部門長の采配に任せる方法で、残業規制を行っていた。

 つまり、サービス開発本部はテラダ氏の思惑で、2つの蛇口が開きっぱなしのザーザー。その分あとの蛇口は厳しく締められていた。開きっぱなしの2つの蛇口とは、データ通信企画室のスマートフォン企画業務と、サービス計画部のモバイルコンテンツ業務。


 秋に始まった残業自主規制のカラク
 まず経営陣が本部単位の残業時間(/月)の上限値を定める。次に部門の現場責任者、サービス開発本部であればテラダ副本部長が、本部内セクション毎の残業時間の上限値を定める。

 このとき、ウィルコムには社員が認識する共通のビジョン戦略戦術がないため、社員たちはそれぞれの方向を見ている。だから、残業時間を分配するテラダ氏の采配は、それまでの彼の傲慢ぷりも手伝い、ひどく身勝手で恣意的に見られた。

 モバイルコンテンツ業務は、新端末やコンテンツが出る度、サイトのバグチェックに時間を要する。前述したとおり、来るもの拒まずで品質管理をしないコンテンツ群は、ユーザの期待に応えられない
 が、精査再検討されることなく増え続け、比例して労働力を奪い続けるという悪循環。


(つづく)



閑話休題


 急にフォローが増えたと思ったら、何やら煽られたようですので、久々の業務連絡です。

【定期連絡】 このつぶやきはフィクションです。 公共にオープンになっている名称にはモデルの実在の名称を使う場合もありますが、実在の人物・団体・事件等には一切関係ありません。感想ご意見はwillcomreal@gmail.comへお寄せください。

 フィクションなので信じない人は信じず、フィクションを楽しむ。(こういうことは本当にあるかも)というリアル感もフィクションの楽しみ方の1つ。フィクション前提とはそういうこと。

 今回willcomrealを煽った人は、willcomrealが誰か知ってるとわざわざ発言し、その誰かのことを「退職となった腹いせか」「問題行動が多かった人物」「懲戒に価することがいくつもあった」と事実無根の中傷をしてますが、それこそいかがなものか。

 前にも一度、似たようなことがありましたが、同一人物かな? willcomrealは彼(今回煽った人)と「いろいろ話した」「納得いかないこともお互いに話した」ことはありません。こういう形でフォローが増えるのはあまり嬉しくありませんね…(…贅沢?)

 どうやら彼はフィクション前提として色々言ってきたようです。フィクション的な対立構造を演じるアエラの「勝間和代×香山リカ」企画のようなものか…

 彼のツイートをざっと見ましたが、強烈なアンチ・ソフトバンクですね。

 しかし、サービス残業の話に入りかけたところで、こういう横やりが来るとは… 


 はい。 RT @nande5489 うざい粘着(@sattak)は無視してドンドンつぶやいて〜応援してる♪ @willcomreal どうやら彼はフィクション前提として色々言ってきたようです。フィクション的な対立構造を演じるアエラの「勝間和代×香山リカ」企画のようなものか…


 あらためて、事実無根の勘違い中傷を日々受けている著名人、ツイッターでいえば孫さんとか、すごいですね。



 一言。さきほどこのツイートを煽った人は元ウィルコムの人で、どういう人かある程度わかりました。「社員の代理で俺が言ってやった」と言ってますが、情報操作を好み、キクガワ社長をやたらと悪人に仕立て上げたがっている模様。

 キクガワ氏についてはこのツイートでも重大責任があるとして決して擁護していないのはおわかりかと思いますが、単純にキクガワ氏だけでなく組織意識、社員意識の問題もそれ以上に重大である、というスタンスを取っています。それが気にいらなかったのかもしれません。

 このツイートの一般的な感想で前から興味深いと思っていたのは、キクガワ氏のことをけちょんけちょんにしているという読み方をする人と、キクガワ擁護派だと読む人と、両方いることです。

 元ウィルコムの人のアツい煽りで、むやみに引っ張り出され中傷された仮名イシダ君には悲惨な展開でしたが、それをどうするかは「イシダ君」の判断に任せたいと思います。ただ、前からここでツイートしていたとおり、今でも一部の社員が身内をやたら庇い、美談に仕立て上げて問題を悪化させる構図が、彼のツイートから読み取れます。更生会社の社員も頑張ってる。それは言葉で主張するのでなく、顧客満足度によってのみ感じられることでしょう。できることをやるのではなく、やるべきをやる。今必要なのは何が問題だったのか徹底的に洗い出し、言いわけ無用の本気の行動を取ることではないでしょうか。

 このツイートは全体が大きな1つのフィクション、もうひとつの過去、そうであったかもしれない過去として作り上げています。ほかのツイートでたまにあるような、普段は事実ベースでありながら、都合悪い時だけ「フィクション」というものとは異なります。

 もちろんこのツイートでも何度も触れているとおり、意識高く働いている社員もいます。ただ残念ながら全員ではありません。他の人のツイートにもありましたが、例外的、異例に救ってもらったという意識を肝に銘じて行動できなければ、真の再生はないし、悪しき社風を後世へ残すことになるでしょう。

 彼のツイートでは、ウィルコム社員は頑張っているそうです。プロですし、更生会社ですから、頑張ったけど駄目だった、では済まされません。その頑張りがごまかしでなく、長年のユーザや世の人のための確かなメリットとなって、一日も早く実現することを願います。


 ウィルコムの今後のサービスの品質によってのみ、社員の頑張りが本当かそうでないか世間は判断する。その覚悟をもって行動することが本当に大切。 RT @leticialuticia ジャッジメントですの。


 ただ、一部の社員は、業務時間中にTLを長時間眺めていたり、私的なことを大量につぶやいたりしてるけど…ヒマそーにね (こんなこと書くとツイッターさんに怒られたりしてw)



ウィルコム社内にあるソフトバンクへの印象について、後で少しつぶやきます。


(2010年5月22日〜26日分まで掲載)