予告された倒産の記録 その24

■ 豆つぶやき(GW企画)


 GW中は更新できない時期があるのでどうなるかわかりませんが… 
【新緑晴天GW企画!】 →ウィルコムは真に後世に残す価値があるか?!(会社更生法適用の大義名分はいかに??)をお届けします。


 まず事実整理。
 会社更生法申請におけるウィルコム大義名分 → 「約450万ものユーザーがいる」「病院で使われている」「災害時に強い」
 ほかに、何かあったかな…? 感想・ご意見はいつでもお寄せ下さい。
 

「約450万ものユーザーがいる」というのは、数の話ではないかもしれないけれど、社会へ与える表面的な影響度をわかりやすくするためには、数字表現が便利なのだろう。 

 450万いたのは1年前。今は40万ほど減って約410万。かつては290万程度だったこともある。どこがデッドラインか。仮に他の理由がなかったとして、どこまで減れば「約XXX万ものユーザーがいる」が、公的資金投入(出資・融資)の理由にならなくなるのかは、興味深いところだ。 

 450万いた頃、1年前の2008年度末をベースにしても、450万分すべてが代替不可能というわけではないため、一概に「450万規模の影響度がある」とは、やはり言えない。大袈裟すぎる、と思った人も少なくないはず。 

 450万超えユーザー(だった頃)の内訳を見てみよう。個人契約(データカード+スマートフォン+その他端末)は248万。法人契約は207万。合計で約455万ユーザー。

 会社が清算しても、個人契約248万は、他キャリアへ移れる。不満はあるかもしれないが、哀しいかな、社会の通常運行に支障が出る→国の救済が必要、とはならず、代替の受け皿があるとみなされてしまう。よくて、料金的な配慮があるくらいだろうか。

 ドコモがPHSを止めた時と違い、PHS→3Gになるため番号は変わってしまうが、それはトーキー対応かしら。「お客様がおかけになった電話番号はXXX番へ変更しましたのでおかけ直しください」。メアドの変更は転送で。そこまでやってくれれば幸いだけれど。

 法人契約はどうだろう。代替可能だろうか? 内訳をみると、データカード43万、音声87万、テレメタ48万、ホールセール29万。ホールセールとは、帯域貸し、現行PHSMVNO提供のこと。

 法人データカード・音声利用といえ、個人利用と同じ考え方で、他キャリアへ代替可能。しかし一方、代替不可能という印象の使われ方あり。病院利用。いわゆる「院内PHS」と呼ばれるもの。 

 48万契約のテレメタも、侮れない。これはカーナビやエレベーターの遠隔制御などにPHSが使われており、代替となると、関連機器ごとごっそり変えないといけない。何年もかかる、と言われている。

【用語解説】「テレメタ」……テレメタリングのこと。計測器などのメーターを読み取ったり、機器の遠隔メンテナンスを行うシステム。専用のPHS端末を接続することで、機器のデータ収集やメンテナンスのセンター管理が可能。 

 現在の410万ユーザーのうち、「院内PHS」と「テレメタ」利用。合わせて50〜100万少々程度の規模でも、この2つが、ウィルコム救済の大義名分を支えていると思われる。 


 残りの大義名分「災害時に強い」。近年、東北地方の大地震でもPHSは他キャリアと比べてよくつながったと評判になった。

 つながった理由としては、PHSは3Gより基地局の数が多いため、1つが倒れても他の基地局でカバーできた、とか、ウィルコム災害対策基本法の指定会社ではなかったから、とか。 

 3Gと違い、カバーエリアを重複させて基地局を置けるマイクロセル技術の強み。但し、東北は他の地方と比べてPHS基地局が多いため、四国や九州の地震災害でも東北と同様の効果があるかは不明。 

 災害対策基本法は、NTTやKDDIが指定会社になっており、災害の救援、復旧、公共の秩序の維持のために、通信制御を義務づけられている。契約者数の多い事業者はすぐ輻輳するから大変だ。契約者数の少ないウィルコム輻輳もあまりなく、法的な義務もない。 


「テレメタ」「院内PHS」「災害に強い」 大義名分3兄弟。 


 あるいは、政治的陰謀説。大義名分3兄弟は、考え方次第でどうにでも何とかなる余分3兄弟に過ぎず、べつに救済しなくたって構わない。ただ、PHSは国産技術、とこだわる官僚がいる。PHSに肩入れする超大物財界人、稲盛和夫がいる。 

 もし稲盛さんがJALの救済(貧乏くじ)を引き受けてくれたら、ウィルコムは機構でご支援させて頂きますが(政権与党の誰かの台詞)… と、と、と、誰もがちょっとは想像する、そんな小芝居が、あっただろうか? 

 個人的な所感だが、小芝居だったとしても、すでに最初の脚本は捨てられ、役者たちのアドリブが暴走しているよう。暴走しながら落とし所を探す。脚本家は思う。なんでこんな風になっちまった? 世間の目は厳しい。出資は止めて融資に。いや、融資もこの際… 

 やめちまおうか? ウィルコム、いらないでしょ? 放置してつぶしちゃおーよ! と、そこで登場する大義名分3兄弟「国民が困る!!!」。脚本家「でも、君たちが必要なのはPHSであって、ウィルコムという会社じゃないよね?」。3兄弟「はっ!言われてみればっ!」 

「テレメタ」「院内PHS」「災害対策」のために必要なのは、あくまでもPHS技術のインフラ事業。残念ながら、ウィルコムという会社ではない。ウィルコムがなくなっても、かわりにもっとうまくやれる会社(京セラ?)があれば、そこがやればいいだけのことだろう。

 京セラさん、SuperPHS(構内PHS?)なるものを考えているようですしね。まだよくわかりませんが、「テレメタ」や「院内PHS」の代替になったりするのでしょうか。


 はてさて… 今のウィルコムという会社に、真に後世に残す価値があるのか… 

 
 まとめ→「テレメタ」「院内PHS」「災害対策」のためPHSインフラは必要(か?)。しかしこれだけでは、おそらくどんなに絞ってもNW維持費すら稼げず、事業として自立できなさそうだが… 感想・ご意見、お寄せ下さい! 



■ お便り紹介


楽しく拝見させていただいています。この会社がどこにいくのか興味があります。引き続きがんばってください。

ツイート一通り見ました。こんなんじゃダメというか、全部代替ソリューションが有るものばかりでどうやって生き残ろうと?という感想しか出ませんね。残念ですが、社会的使命を終えたということなのでしょう。 

内容に強い衝撃を受けました。停滞具合が競合他社の状況でどうしようもなくなった2009年ではなく2008年からすでに末期的状態だったのは驚くばかりです。

それにしてもマツケン社長の3年間ってなんだったんでしょうね。何がしたいのか最初から最後までさーっぱりわかりませんでした。 

後からならなんでも言えるだけかもしれませんがPHSがやるべきことは高性能端末や次世代PHSではなく新基準での人口カバー率100%とW−SIMの徹底した小型化、省電力化、速度より感度の高性能化であらゆるものに容易に組み込めるようにすべきだったのでしょう。

このアカウント、最近知り早速リストにフォローしました。私、前社員です。よくぞやっていただきました。これからも応援しています。

私は・・・中の人です。一体いつまで残業規制(という名のサビ残)を続ければいいのか、絶望するばかりです。いろいろと大変かもしれませんがこれからも頑張ってつぶやいてください。応援してますよ!

社員です。次世代関係でもかかわっていた時期があったので、笑えないけど笑っちゃうエピソードばかりでした。この先のツイートも楽しみにしています。

(退任した久保田社長について)社内では「就任時に倒産することも織り込み済みだったんじゃないか」なんて声もありましたが、それが規定路線だったら倒産に関しては素人の久保田さんを敢えて社長にする必要はなかっただろうと。

管財人と裁判所宛にサビ残の実態を伝える文章を従業員代表の何人かが連名で出せば大抵は改善します。更正会社の社員って強いんです。元経験者w RT 私は・・・中の人です。一体いつまで残業規制(という名のサビ残)を続ければいいのか、


【質問】 僕はウィルコムの、自律分散や上りの速さ(他社と比較したときに)など、3Gには真似できない技術を好きなんだと思います。これは現存のウィルコムでなくとも持続発展可能なものなんでしょうか?

【質問への返事】 自律分散はPHS以外にないと思います。基地局を自由設置できるメリット等あるのですが、ハンドオーバー遅延等デメリットもあり、3G並みを目指して独自技術を積み上げたのがPHSでした。他の無線技術が自律分散を採用しないのは、周波数利用効率の悪さ等もあるでしょうか。

 次世代PHSの上りの速さを規格できたのは、ほぼウィルコムの独壇場だったためです。こちらは他技術でもHSPAやLTEは次世代PHSと同等以上の規格ですね。帯域幅の割当て等によって規格速度をどれくらい実現できるかは、今後次第といったところですが… 

(今後PHSが残るとして)PHSのNWノウハウや技術者は、今はウィルコムという箱の中にあるわけですが、箱がボロボロなのでもう少しマシな箱へ中身を移し替えれば、穴だらけの箱を臨時でふさぐためにお札を貼らなくて済みます、かね。 


(おまけ) 泣けます。スティーブ・ジョブズの感動スピーチ→http://sago.livedoor.biz/archives/50251034.html


(2010年4月28日〜5月2日分まで掲載)